東急レクリエーションが、自身が運営する映画館「ムービル」や「109シネマズ」の映画鑑賞料金を上げることを発表しました。
ついこの前、TOHOシネマズ株式会社も自身が運営する映画館「TOHOシネマズ」の鑑賞料金を2019/6/1付で上げることが発表されましたよね。
どちらも一般料金が1800円→1900円に。その他、レディースデイなども100円値上げされていたり、基本的にどの料金も100~200円の値上げとなるようです。これに対して皆さんはどう思うでしょうか。
怒涛の値上げラッシュに対して、映画によく行くヘビーユーザーにとっては手痛い料金増加にもなるかもしれませんね。
いったい今、映画業界で何が起きているのでしょうか。
まず、料金値上げの理由としては、「アルバイトなどの人件費の運用コスト増加」や、「設備投資への負担増」に対して、企業努力だけではそのコストを回収することができなくなってきたためとのこと。
確かに最近では、映画の体感を五感でより深く味わえるようにした「4DX(MAX4D)上映」が普及し、設備投資への負担が上がっていることは頷けます。
映画の臨場感を高めるための座席の振動やミスト機能なども、これまでの一般的な映画設備では難しい部分も往々にしてあるはず。
しかし、ここで私は疑問を持ちました。
「そもそもこういった4DXの映画とかは一般より高い料金設定だったよな?」と。
そう、4DX系の映画は一般料金と比べてそもそも1000円~1200円高く取られるようになっているのです。鑑賞する人たちからすれば、設備投資への負担をその約1000円で回収しているものだと思って見ているのではないでしょうか。1000円多く出してでも臨場感を味わいたい人は多めに出し、そこまでお金出さなくていいから映画だけ楽しみたいという人は一般料金を選択していたでしょう。
しかし、これが一般料金ですら値上がりしてしまうようになると、いったい負担が増加した設備投資とはどこのことを指しているのかわからないとどうしても納得いかないものがありますよね。一般の映画でも設備がどこかしら向上されているということでしょうか。私は体感あまり感じたことがありませんが。。
また、人件費増加による運営コストいうのも上がっているのはわかります。アルバイトの最低賃金などの改定もありましたし、これは仕方ないことでしょう。
しかし、ネット配信サービスのNetflixやAmazonプライムなどを使えば、映画館に行かなくても映画を見れるようになっている現状で、この値上げラッシュが映画業界全体にどういった影響を及ぼすのかが少し不安になります。
当然最新作の映画は映画館でしか見れませんが、この値上げをきっかけに映画館へ足を運ぶ人が少なくなることも懸念する必要があるのではないかと思います。
今回は100円増ということで、まだいいかもしれませんが、これが今後、一般料金でも2000円を超えてくると、インパクトは大きいです。間違いなく人の入りに影響が出ると思います。
今後も上がり続けるようであれば、「最新で見ると高いし、いずれ見れるネット配信で済ませばいいや」という人が出てもおかしくありません。そうなってしまうと映画業界にとっては大打撃ですよね。
日本の映画鑑賞料金は、海外と比べても高いと言われています。例えば、米国では州によって異なりますが、平均で約1000円ほどしかかからないようです。一番高いところでも約1700円、安いところは100円とかでも見れるというので驚きです。
ちなみに1700円で見れるサンフランシスコの最低賃金は1500円らしいので、映画鑑賞料金と最低賃金との乖離もそこまで大きくなさそうです。
それに比べて日本はどうでしょう。場所により最低賃金が異なるのはどこに行っても同じですが、日本の場合、全国一律で映画鑑賞料金が高いので、不平不満が出るのも当然です。そして、最低賃金に対して、映画鑑賞料金が海外よりも大きく乖離しているということも。
日本の鑑賞料金が高い理由に「サービスの質が高い」と言われたりもしますが、果たしてそうでしょうか。
私は少なくとも映画館に足を運んで、映画館スタッフのサービスの質が高いと感じたことはあまりありません。普通の対応をしてはくれていますが、厳しい言い方をすれば、1800円を出すほどのサービス提供を、映画館のスタッフがしてくれてるとは思えないのが現状です。まぁ当然そのために映画館に足を運んでいるわけではないので、特に気にしていませんが、とはいえ改善できる点ではあるかと思います。
とはいえ、私も一人の映画好きとして、今回の値上げが、更なるサービス向上に繋がるのであれば、それは歓迎すべきことだとは思います。是非とも今以上の新しいサービス向上に期待したいと思います。
例えば、今公開されてる映画のコスプレを映画館のスタッフがするなどしたら、アトラクションみたいな要素が増えて、お客さんとの一体感のようなものが生まれ、映画館がコンテンツとして価値が生まれることも考えられるでしょう。いわゆるライブやイベントのようなサービスです。ただ、それをするためにはさらなる設備投資が必要でしょうから、難しいかもしれません。とはいえ、素人意見なので、あくまでそんなことがあったらいいなぁ程度で案を提示しました。
少なくとも、映画館のスタッフという存在がいるわけで、その人たちを活かしたサービスの質向上を検討しなければ、今後ますますネット配信サービスに人を持っていかれてしまうと思います。
何にせよ、今後の映画業界がどう動いていくのかも注視していきたいと思います。